LOVE LOVE LOVE 1
会話形式のショートショート寄せ集め。ジェットロンと愉快な仲間達。軽く匂わせる程度ですがCP詰め込み、矢印の数と方向がカオスなので地雷CP持ちの方はご注意ください。
スタースクリームとマイスター。サンダークラッカーとブロードキャスト。スカワイープ、フレンジー、ラチェット、ホイルジャック。
※スタースクリームとマイスター
「機嫌を直しておくれよ」
「るっせー。死ね馬鹿」
「だから悪かったって言っているじゃないか。悪気は無かったんだよ、これっぽっちもね」
「謝って済む問題じゃねー。悪気が無かったからって許せるかってんだ」
「なに。お前さんが許してくれれば万事丸く収まることさ」
「だーかーら!許さねぇってんだよ!」
「スタースクリーム。お前さん分かっているのかい?そんなにムキになってもう言い訳出来ないねぇ」
「っ!!!俺様を脅そうってのか!」
「まさか。脅す気は無いよ、全くね。少しは落ち着いておくれよ」
「信用ならねぇ」
「別に信用しなくても良いよ。我々は敵同士だからね」
「・・・」
「ほらほら。睨まない睨まない。正直ね、まさか私もそうだとは思ってなかったんだよ。あ、いや、ちょっとは思っていたかな。いやいやねぇ、まさか、ねぇ?」
「てめぇは何が言いたいんだよ?」
「しっかりと反応したお前さんにも非は無いかい?」
「ふざけんなっ!!!」
「ああ・・・行ってしまったね。どこかで燃料切れになって墜落していなきゃあ良いんだがね。しかしまさか、スタースクリームが彼をねぇ。全く感情というものは予測を軽々と超えてしまうものだね。恐ろしいものだ」
マイスターは軽く肩を竦め、遠い空を仰いだ。もうそこにスタースクリームの姿は無く、彼が残した飛行機雲だけがふわふわとした線を空に描いていた。
しばらくそれを見つめ、そしてマイスターはトランスフォームした。ポルシェは雲の進む方向の逆へと向かった。
※サンダークラッカーとブロードキャスト
「めんどくせぇなぁ」
「まぁまぁそう言わずにさあ!」
「なんかなぁ、俺、なんにも得しねぇんじゃねぇの?」
「何言っちゃってんの!俺のごっきげんな特別ミュージックをあげちゃうんだぜ?!すっごい得じゃん!」
「あんまり嬉しくねぇぞ、それ」
「サンダークラッカーは欲張りだなぁ!」
「お前に言われたかねぇよ!大体だなぁ」
「あーあー。分かった分かったって!仕方が無いから、秘蔵のエネルゴンを一本あげちゃおう!わーお!俺様太っ腹!」
「・・・ブロードキャスト」
「ん?なんだい、サンダークラッカー」
「それはお前のものなんだろうな?」
「まぁまぁ、貰えるものは貰っておきなさいよ。そうそう、秘蔵の映像も焼いたげるからさ」
「・・・彼のか?」
「もっちろん!」
「酒を俺に渡したってぜーーーったいにばらすなよ?」
「俺のだって言ってんじゃん!」
「いいから!約束しねぇとデータ撮って来ねぇぞ!」
「あー、分かった!分かった!言わないって。まぁ、データ次第?ってのもあるけどねぇ」
「そりゃーお互い様ってもんだ」
「ははは、確かに!」
「あー・・・めんどくせぇなぁ」
「んー・・・良い天気だねぇ」
「デストロン辞めてぇなぁ」
「腐れ縁は何よりも強いってね」
「全くだ。そっちはどうなんだ?」
「んー・・・面倒だな、とは思うけど、まぁまぁ楽しくやってるし、ほら、やっぱり腐れ縁の為にもあそこに居ないとね」
「ややこしい奴」
「全くだね」
ブロードキャストはそう言ってごろんと寝転がった。小高い丘は一面の草原の中にある。隠れるところは無いが、ブロードキャストもサンダークラッカーも気にしてはいなかった。見つかったら見つかったで良い、そう思っているのだ。
鳥が一羽二羽とその数を増やし集まってきた。サンダークラッカーのようなジェットロンを鳥はあまり恐れない。空を飛ぶものとして何かあるのかもしてないが、所詮下等な生物のことだ。サンダークラッカーには何故、など分からなかったし、別に知りたくもなかった。ただ寄ってきた小さな命の好きにさせてやるだけだ。
だからサンダークラッカーは自分に鳥が集まるのは知っている。そうして隣に居るブロードキャストにも鳥達が集まることも知っている。自分の知るあの男も同じように何故か小動物に好かれる。
「どうしようもねぇなぁ」
「何が?」
「腐れ縁」
結局どれだけお互いにいがみ合おうとも、彼らは同じなのだ。自分達が何かと離れられないように。
空は青い。肩に止まった鳥達は思い思いに囀るのだった。
※スカイワープ、フレンジー、バンブル、ラチェット、ホイルジャック
「フレンジーてめぇ!何がここであってるだ!このクソチビ野郎め!」
「るせーよ!スカイワープ!お前がヘンなところで着地するからいけねぇんだろうがよ!」
「っこのガキ!置いていってやろうか!一人じゃ帰れないだろうが!」
「やれるもんならやってみろ!後で痛い目見るのはお前なんだよ、スカイワープ!」
「ねぇねぇ。あれってさー」
「道理で煩いと思ったよ」
「何をやっとるのかね、あいつらは」
「さあ?お、フレンジーやるね」
「・・・ホイルジャック」
「・・・なんだね、ラチェット君」
「あれを上手いこと連れて帰れないかな」
「奇遇だね。私も思っていたんだよ」
「ははは、スカイワープの野郎ざまぁねぇの!あんなちっこいのにやられちゃってるよ!」
「私としては両方かな」
「気が合うねぇ」
「ここはやっぱり、そうだろ?」
「全くだ」
「よーっし!おいらも!スカイワープ!覚悟!」
「あ、バンブル」
「おうおう。ラチェット君、見てみたまえ。あれが袋叩きというやつだ」
「いやぁ、ホイルジャック。それは少し違うぞ。それじゃあ、悪者になってしまう。あれはじゃれあっているだけだ」
「うーむ。そろそろ止めないと使い物にならなくなるぞ、ありゃあ」
「おや、確かに。子供は容赦が無いな」
「おまえ、中々やるじゃねぇか!」
「君こそ、ちっこいくせにやるね」
「あったりまえよ!俺様がこんなのに・・・ってサイバトロン!」
「あー、二人とも来たんだ」
「ほらほら、その辺にしておきたまえよ、バンブル君。スカイワープ君が大変だ」
「了解。ほら、フレンジーも」
「俺もかよ!」
「そう君も。どれどれ・・・って逃げることはないだろう?」
「こっち来るな!近寄るな!その手付きをやめろ!」
「ほーら、怖くない、怖くない」
「来るなってんだ、この変態!おいこら、フレンジー!」
「ん」
「行くぞ!」
「あ、こらちょっと待てよ!」
「あーあ、行っちゃった」
「変態とはなんだ、全く。人が親切に診断してあげようとだな」
「ラチェット君。やはりその手付きが拙かったんじゃないかね」
「何を言う、ホイルジャック。サイバトロンは逃げないじゃないか」
「おいら達、すっかり慣れちゃったもんね。とくにアイアンハイドなんて、あれ絶対ラチェットの診察じゃなきゃあダメだもんね」
「え?そ、そうかな?」
「うん。ラチェットじゃなかったらなんか物足りなそうにしてるもんね」
「なんということだ!こうしちゃおれないぞ!早く帰って診てやらないと!」
「あ、行っちゃった」
「バンブル。お前さん、色々と知っているんだねぇ」
「まぁね」
「さあ、ワシらも帰るとするか」
けたたましくサイレンを鳴らして行ってしまった救急車両はもう見えないが、ランチアとワーゲンはその後を辿るように走り出した。
「逃げるなんて情けなくねーのかよ!スカイワープ!この臆病者!」
「るせー!あいつはヤバイ!寒気がしたぜ、全く。てめー、俺様に感謝しやがれ!」
「寒気ってなんだよ」
「メガトロン様を怒らせた時より嫌な感じがしたんだよ!」
「え・・・マジで?」
「マジだ!さっさと帰るぞ。メガトロン様にどやされる方が絶対良い・・・」
「・・・そういえばなんかいつもよりあの点滅激しかったような・・・」
スカイワープとフレンジーは二人の顔を思い出し、ぞっとした。逃げられて良かった・・・、そう心の底から思うのだった。
FIN