それはセクハラです
司令官/破壊大帝?ある意味セクハラ対決?もうナニがなんだか私にもさっぱりだよ。





「コンボイ!ワシを使え!」
メガトロンはそう言うなり、コンボイの返事を待たずにトランスフォームした。落下するP-38にコンボイは反射的に手を伸ばした。
手に納まった敵の首領であるものを握りなおす。
『頼んだぞ、コンボイ』
「任せろ、メガトロン」
瞬時に照準を合わせる。ほぼ同時に引き金を引いた。銃口から発射された弾丸が正確に敵に命中する。一発、二発、三発と恐ろしい速さでコンボイは撃った。全て正確にだ。

メガトロンは使われている側として、コンボイは最も優れた射手であると認めざる得なかった。銃身にトランスフォームする身として、ある意味最も信頼できる。それが敵であることが少しばかり残念だった。安心して身を任せられる相手が、最大の敵であるとはなんとも滑稽なことだった。

後、一体。コンボイは哀れに逃げ出す敵に照準に合わせた。引き金を引く指になんの躊躇もメガトロンは感じることはなかった。砲身から飛び出した弾丸が敵を穿ち、それをただのガラクタに変えた。
コンボイは敵には容赦をしない。メガトロンはそれ知っているからこそ、共通の敵を相手にする時、その引き金を仇敵に渡すのだ。
敵を撃つことに戸惑う者に、己の身を任せるなど屈辱でしかない。考えただけでもおぞましいことだ。
その点も含めて、やはりコンボイは理想であった。表立って認める訳にはいかないが、メガトロンはそう思っている。

『あっ!・・・貴様、コンボイ!何をしておるかっ!』
「いや・・・前から気になっていたんだ」
メガトロンは銃身のまま身を捩ったが身動きが取れなかった。トランスフォームしようとしても、コンボイがしっかりと握っているので出来ない。
『離せ!』
コンボイの指が引き金を撫でさする。メガトロンの感覚中枢はそれを受け、しっかりと反応していく。ゆっくりと快感が生み出される。
『やめぬか・・・この馬鹿者っ!』
メガトロンは怒りを込めて怒鳴ったが、それに怖気付くようなコンボイではない。まぁまぁ、と暢気に言い、引き金部分を更に色々と弄くった。
「しかし何故またこんなところに・・・」
『知らんわっ!・・・うぅ、くそっ!』
何故、あそこが引き金なのか。実はメガロトンも知らなかった。擬態した時そうなっていた。だからそういうものなのだ、と考えないようにしていたのだった。
それに普段、普通に使う時は何も感じないのだ。こんな風に触られなければ。
「こんなことでは大変だな、メガトロン」
はっはっはっは。
豪快に笑いながら弄くる手を止めないコンボイにメガトロンは心底腹が立った。自由になったら真っ先に殺してやる。そう思うが、それは次から次へと湧き上がる快楽にぼやけていく。最悪だ。
『コンボイッ!・・・たのむ・・・離せっ!あ、あ、あぁっーーーー!』
限界だった。メガトロンは銃身を震わせ、その銃口が火を噴いた。

「引き金は引いてないぞ」
コンボイが右手を見て呟く。メガトロンは先ほどの拍子に落としてしまった。
「・・・貴様と言う奴は!」
本来の姿に戻ったメガトロンがぎりぎりと拳を握って震えている。顔が赤く見えるのは気のせいか。
「おぉ、メガトロン。アレはなんだったんだ?」
「・・・ッ!!!知るか!」
襲い掛かってくるかと思ったメガトロンはくるりとコンボイに背を向け、素晴らしい速度で飛んでいった。
残されたコンボイは首をかしげ、そうして先ほど命中したと思われる岩に近づいた。

「・・・・・・・・・」
ああ。コンボイは納得がいった。考えてみれば当然かもしれない。
その岩には白い粘ついた液体がべったりとこびり付いていた。
このままにしておくか、どうするか。コンボイは少しだけ考え、放っておくことにした。そのうち雨が降って流れるだろう。
自分の右手を見たコンボイは「水辺はどこだ・・・」とぼそりと呟いた。
そして右手を不自然な位置に浮かし身体に触れないようにし、水か拭くものはどこだ・・・とぶつぶつ言いながら歩き出したのだった。





FIN